病室や病棟の談話室に、自然の景色を 窓の景色と回復についての研究から考える
入院している人は、一日の多くの時間を、同じ部屋で過ごします。 その部屋の窓から何が見えるかは、思っている以上に大切かもしれません。 この記事では、窓の景色や自然の映像についての研究を紹介しながら、病室や病棟の談話室に、自然の景色を取り入れるときの考え方をまとめます。
ここで紹介する研究は、自然の景色が治療の代わりになることを示すものではありません。研究の数や条件には限りがあり、結果の受け止め方には注意が必要です。
窓の景色と、手術後の回復
よく知られているのは、1984 年に科学誌 Science に載った、ウルリッヒの研究です。 胆のうの手術を受けた患者の記録を調べ、窓から自然の景色が見える部屋の 23 人と、れんがの壁が見える部屋の 23 人を比べたところ、 自然の景色が見える部屋の患者は、手術後の入院が短く、看護記録の否定的な記述が少なく、強い鎮痛剤の使用も少なかったと報告されています。
精神科の病棟でも
2022 年に発表された、ドイツの精神科病棟の研究では、気分障害で入院した 244 人の記録を調べました。 窓の景色に占める緑の割合と、部屋の明るさが、どちらも入院の日数の短さと関係していたと報告されています。 研究者は、緑の多い景色と、自然の光の両方が回復に大切であることを支持する結果だとしています。
窓がない場合は、映像や写真で
病院の建物によっては、すべての部屋から自然が見えるわけではありません。 模擬の病室で行われた実験では、自然の写真を見ながら痛みの刺激を受けた人は、写真のない人と比べて、痛みの感じ方が一部で小さかったと報告されています。 ただし、「危険(ハザード)」の景色を見た人は、痛みから気をそらす効果は大きかった一方で、気分の乱れの得点が最も高かったとされ、選ぶ景色が大切だとわかります。 また、2026 年に発表された、62 の研究をまとめた分析では、自然に触れることが、痛みの自己評価を小〜中程度下げることと関係していたとされる一方、研究の質のばらつきが大きく、慎重な解釈が必要とされています。
病室や談話室に取り入れるときの考え方
- 穏やかな景色を選ぶ:見通しがよく、落ち着ける景色(開けた水辺、木々のある公園など)。荒れた海や激しい天気は避けます。
- 見ない自由を残す:病室では、見たくない時に消せること、音を出さないことが大切です。
- 談話室から始める:個々の病室より、共用の談話室やデイルームのほうが、始めやすいことがあります。
- 夜は暗く:睡眠の邪魔にならないよう、夜は画面を消すか、暗い景色にします。
keensense の場合
keensense(キーンセンス)は、この記事を書いている私たちが運営している、自然の景色をウェブのブラウザで映すサービスです。 映像は穏やかな自然の景色だけで、急に驚かせる場面や文字、広告は入りません。音を消して、景色だけを映すこともできます。
- 導入:専用の URL を、手持ちのテレビ・タブレット・パソコンのブラウザで開くだけです。会員登録・ログイン・工事・専用の機器は要りません(インターネットは必要です)。
- 景色:焚き火、ロウソク、森(夜明け・朝・日中・夕方・夜)、砂浜、公園(春の桜・秋の紅葉)、星空、雲海などから、お店に合うものを選べます。15 分・30 分・1 時間ごとに、自動で切り替えることもできます。
- 料金:月額 9,800 円、年額 98,000 円。1 拠点で 1 ライセンスで、同じ施設の中なら画面の台数は問いません。
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参考にした資料
- Ulrich RS. View through a window may influence recovery from surgery. Science. 1984
- Mascherek A, et al. On the relation between a green and bright window view and length of hospital stay in affective disorders. Eur Psychiatry. 2022
- Vincent E, et al. The effects of nature images on pain in a simulated hospital patient room. HERD. 2010
- Steininger MO, et al. Nature exposure reduces self-reported pain: a systematic review and meta-analysis. Nat Ment Health. 2026